学校からの帰り道を、手を繋いで歩く。
ただ何でもない、よくある恋人同士の風景だろうとすれ違う人は思うだろう。
けれどこの二人にとっては、特別なものだから。
ただ無言で道を歩く。
いつもと違う道だからか、花梨が半歩後ろを歩いている。
泰継が時折振り返る表情はひたすらに穏やかで。
花梨はそんな表情を少し恥ずかしそうに受け止めて微笑み返す。
疲れているだろう、と泰継が問えば、大丈夫です、と返す。
花梨にとっては百鬼夜行を祓った直後なのだ、疲れていて当然だろう。そういった気遣いを嬉しそうに「ありがとう、泰継さん」とほんの少しだけ握った手に力を込めた。
「花梨」
「はい」
ふいに泰継が立ち止まった。
「お前は私と共に在ることを、後悔しないか?」
「・・・え?」
「私はお前と共にいたい。ずっとだ」
「私だって同じです」
「私はずっとお前の物だ。八葉として選ばれた瞬間から・・・いや、人型を与えられ『安倍泰継』として覚醒した瞬間から。九十年お前を待ち続け・・・私は神子という存在を得た。だからもしお前が私を要らぬと言っても、私はお前の」
「いらないなんて、言わないで・・・!」
ぎゅ、と手に力を込めた。ぶわっと流れ出した花梨の気が繋いだ手を通して泰継に流れ込む。胸が痛くなるような、痛さを伴って。
「私は、泰継さんと一緒にいたいんです。一緒にいてほしいんです。ずっと、ずっと。だからいらないなんて言わないで・・・」
「わかった、だから泣くな」
大粒の涙をぼろぼろと零しながら必死に言葉を紡ごうとする花梨がどうしようもなく愛しくて、思わずその手を引っ張った。
「!!」
「泣くな・・・すまなかった、神子を泣かせてしまった。どうしたらその涙は止まるのだ・・・止まれ」
苦しい程に抱きすくめられて、動揺しているのだろう、ただ「止まれ」「泣き止め」としか言わない泰継がだんだんおかしくなってきて、とうとうこらえきれずに吹き出した。
「何故笑う」
「だって・・・泰継さん、止まれと泣き止めしか言わないんだもの」
「お前が泣くからだろう」
泣きやまないようにまじないでも施すべきかと実は迷っていたのだが、心のどこかで自分の為に流す涙だと思うと嬉しくもあり。
「だからまじないをせずにいたというのに」
花梨の顔が真っ赤になった。
「お前は泣いたり笑ったり、忙しいな」
「泰継さんがそうさせてるんですよ」
「そうか」
真面目に頷くその姿がおかしくて、また吹き出す。
「泰継さん」
「何だ」
少し憮然として見下ろす泰継の首に腕を回す。ぐんと近くなる距離に恥ずかしくもなるけれど。
この稀代の陰陽師は何事も言わなければわかってくれないから。
「だいすき」
ふいうちで言ったつもりだったけれど「私も好きだ」と即座に返ってきた言葉と微笑みにノックアウトされて、あまつさえ強く抱きしめられ・・・仕掛けた花梨のほうが恥ずかしさでギブアップしてしまうのだった。
ヒトリゴト。
ブログでやっていた「下書きをしない一発書きのクセ」が抜けませんで・・・実はこれ書き直しなんです・・・(涙
保存が完了する前に別なページを開いてしまって、あっ!と思ったときにはパアでした(号泣
前のお話のほうがもっと砂吐けたなー、あーあ。
教訓。
せっかちはイケマセン、はい。
また次回、泰継さんに砂吐いてもらいましょう・・・ 幸鷹さんのお話もそろそろ書こうかな。の前にコルダもお題探ししてこなきゃ・・・!
2011.5.13UP