甘いものはどちらかというと苦手な部類に入る。
食べることを必要としなかった頃は、全く興味がなかった。花梨が甘いものをおいしそうに食べる姿を見ても、何をそんなに嬉しいのかと思っていたくらいだ。
でも今は、わかる気がする。
あの、嬉しそうに、おいしそうに口を開く花梨の姿を思い浮かべて、一人微笑む。
「どうしたんですか?」
ふ、と笑った泰継に、花梨が怪訝そうに問いかけた。飲んでいたコーヒーカップをソーサーへと戻す。
「お前は、楽しそうに食べるのだな」
「ぅえ?」
今まさに口をあけてシュークリームと食べようとしていた花梨が、かぶりつきそこねて奇妙な声を出した。こほんと咳払いで誤魔化してみるが既に遅い。
「えー、っと?」
「京にいた時は、何故そうも嬉しそうに食べるのかと不思議だった。食物を必要としなかったから尚更そう思っていかのかもしれぬ。しかし今は、わかる気がする」
「はいおえふか?」
結局我慢できずにかぶりついてしまった花梨の鼻の頭についている粉糖を指で払ってやりながら、試しにぱくんと舐めてみた。
「・・・!」
花梨が目を見開いた。ただでさえ大きな目なのに、零れ落ちそうだと呑気に思ってみる。
「甘いな」
「ひゃ、ひゃ・・・」
花梨にしてはかなり大急ぎで飲み込んだ後。
「やーすーつーぐーさああああん!」
ばったりとテーブルに突っ伏した。
「どうした」
「冷静に、どうした、なんて聞かないで下さいっ!今、今・・・な、なめっ」
「砂糖だから当たり前だが、甘かった」
「だから冷静にそんなこと言わないで下さいってば!」
「何故だ?」
がばっと勢いよく起き上がったものの、またテーブルへと撃沈した花梨。何をそんなに慌てているのだろうか。
「花梨」
「・・・はい・・・」
突っ伏したままで返した花梨の隣に移動する。それでも花梨は起き上がろうとしない。・・・耳まで真っ赤になった顔を見られたくなかったからなのだが。
「・・・花梨」
耳元で。
小さく囁く。
ふ、と吹きかけられた吐息が耳をくすぐって、花梨が小さく身じろぎした。
「耳が赤い」
「~~~~~~~っ!」
耳を押さえて・・・顔を押さえていないから真っ赤なのが一目瞭然である・・・花梨が起き上がった。
ようやく顔を見せたなと微笑み。
「・・・・・・、っ」
花梨に口付けた。
「砂糖より甘い」
唇を舐める感触にたまらなくなって僅かに開けると、即座に泰継の舌が歯列をなぞる。シュークリームの甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐるのと、泰継から与えられるキスが気持ちいいのとで、花梨の瞳が力なく伏せられた。
ちゅ、と軽い水音を立てて離れていくと、泰継が呟いた。
「だって、カスタードですから。・・・っていうかそうじゃなくてですね泰継さん?!」
「いや」
「え?」
「お前が甘いのだ」
ぺろりと舌で唇についた甘さを舐め取る仕草が余りにも・・・目に毒すぎる。どぎまぎと視線を逸らした。
「甘いものは苦手なほうだが・・・こんな甘さなら、いくらでも味わっていたいものだな」
そうして再び近づいてきた泰継の顔を、花梨は止めることができなかった。
(そんな甘い顔で囁かれたら・・・抵抗できないでしょ!)
なんてどこか冷静に自分に突っ込みつつ。
降るようなキスの嵐に、花梨の思考はあっさりと溶けて消えた。
ヒトリゴト。
甘々って私書けないんです。シリアスならどこまでも書ける自信がある!(妙な自信
なんですが・・・これって甘々、なんです、・・・よね?いいんですよね?私にも書けるんだ、あまあま。ちょっとどころじゃなくビックリです(本気で衝撃受けてます
2011.6.8UP