微妙な雰囲気だ、とあかねは思う。
同じ顔をした人間が二人、同じように黙り込んでお茶を飲んでいる。
しかしこの二人には「居心地の悪い沈黙」なんて関係がないのだろう。
「ねえ二人とも?」
とうとう沈黙に我慢できなくなったあかねが・・・元来賑やかな性格ゆえに沈黙が苦手なのだ・・・口を開いた。
「明日、花梨ちゃんが帰ってくるんでしょ?帰ってくるっていうか、京に呼ばれる日なんでしょ?どこで?どうやって?場所がわからなかったら泰継さんがお迎えに行けないじゃない」
「問題ない」
泰継がぽつりと返した。妙に自信のあるそれに「・・・根拠は?」と意地悪く尋ねてみる。
「今はわからぬ。学校という所で京に召還されたというから、明日行ってみる」
違う所に落とされたらどうするんだと言いかけて、結局やめた。
赤の他人よりも、恋人の絆を信じるべきだろう。
「明日はここに来ない。あかねもだ」
「わかった」
それじゃあ、とあかねが手を振り、二人で手を繋いで歩いていくのを、ドアに少しだけ体重をかけて見つめている。
自分たちも、あんな風に信じあえている。
お互いの手を繋いだら、今度こそ、離さない。
百鬼夜行を祓う為に龍神を呼んだ花梨の体がふわりと浮き上がった時、思わずその手を掴もうと伸ばした自分の手。
・・・寸での所で届かなかった。
あの時の焦燥や、苛立ちや。
訳も分からずに叫びだしてしまいそうな不安を。
小さく、華奢な花梨の手を取ったら、もう感じることはないのだと。
ずっと、共に在ろう。
限りある永遠を、共に。
その日、泰継は眠ることができなかった。
ヒトリゴト。
短いですが、ここで区切っておきます。
次は花梨と再会!