君の素足 幸花ver.

※注意!※

 ほんのり裏っぽいです。ぬるいですが。ご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 綺麗な人だ、と思う。

 顔立ちだってそうだし、鶯色の瞳だってそうだ。そして、真面目一辺倒だとかかつての相方に評されてはいるけれども、性格だって優しい。

 強いて言うなれば、時々強引だったりするけれど、結局許してしまう時点で「惚れた弱み」というやつなのだろう。

 そんな人が「旦那様」なんだなあ、と思ってみると、何だかとても気恥ずかしい。

 気を紛らわせるように・・・今は幸鷹が何も身につけていないせいで恥ずかしさもある・・・視線を落とす。ふと、幸鷹の足が目に入った。

 京の装束は、肌の露出がない。だからなのか、少し腕や足が見えるだけで心臓がどきりと跳ねるのだ。幸鷹だからだということを、花梨は今初めて気がついた。

 男性の足などまじまじ見る機会はない。花梨に背を向けていることをいいことに、花梨は幸鷹のあちこちを眺めてみる。

(髪の毛サラサラだあ・・・いいなあ、寝癖とかなさそうで)

(首筋がなんだかすごく色っぽいなあ)

(背中に傷・・・って、あれ私がつけたんじゃ・・・)

 ふるふると首を振ると、散らばっていた衣服を拾い上げていた幸鷹が「どうかしましたか?」と振り返った。

「なんでもないです」

 そうですかとまた衣服を探し始めたから、花梨もまた「幸鷹ウォッチング」を再開する。

(幸鷹さんの足って、長いなあ・・・)

 男性にしては腺が細いからか、何も身につけていないと・・・単を探し当てた・・・体のラインがよくわかる。

 検非違使別当だけあって多少の武芸には慣れているようだが、頼忠のように戦闘を専門にしているわけではないから、多少腕は劣る。けれども花梨を守ってみせるくらいの武力があることを、花梨は身をもって知っている。

 傷跡もないわけではないが、少ないし、薄い。

 大腿部に薄く傷跡を見つけた。恐らく刀傷だろうと思われた。

 幸鷹は、色白なほうだ。だから薄くなっても傷跡一つでもそれなりにわかる。

 白い、肌。

「・・・・・・っ!」

 今度はぶんぶんと頭を振ってしまい、今度こそ怪訝そうに幸鷹が振り返った。

「どうかなさったのですか?・・・体が辛いのですか?そういえば、昨夜は少し無理をさせてし」

「きゃーっ!きゃーっ!幸鷹さん!」

「・・・はい」

 何でしょう、と真剣に問う幸鷹の口を塞・・・ぎたいのだが、自分は寝床の中で、しかも何も身に着けていない。そして幸鷹は既に口を塞げない距離にいる。よって叫ぶしかない。

「恥ずかしいから言わないでっ!」

「しかし事実ですか」

 ら、と言い終えぬうちにまた花梨の悲鳴が響き渡る。純粋に体の心配をしているだけなのだが、妻にとっては違うらしい。

「すみません、花梨殿」

「・・・幸鷹さんが謝ることじゃないですから・・・」

 度が過ぎたらしいことに気がついた花梨が、申し訳なさそうに掛布に顔を埋める。それでも瞳だけは幸鷹を見つめたままだ。・・・正確には幸鷹の「足」を。

 話しながら単を身に着けただけの幸鷹は、とても線が細く見える。華奢というわけではないが、男性にしては細い。そして、すらりと伸びた、足。 

「・・・なんか、私・・・」

 おかしいかも、と聞こえないように呟いたはずなのに、幸鷹の耳には届いてしまっていたようだった。

「どこか具合でも悪いのですか?」

「具合が悪いわけじゃないんですけど・・・」

 それでもまだ視線の合わない会話に幸鷹が気付いた。

「私の足に何か?」

「・・・・・・!」

 さすがにじっと見ていれば気付くというものだ。当の幸鷹は、何かついているのだろうかと足元を見てみたりするのだが、何もない。

「花梨殿?」

「・・・ハイ・・・」

「私の足が、どうかしましたか?」

「いえ、何でも」

「ない、というには、凝視に近いほどの視線を感じるのですが」

「・・・えっ」

「何かおかしいところでもありましたか?」

 おそらく幸鷹は、気付いている。真剣な表情をしているが、その証拠に瞳が笑っている。

「何もないです」

「そうですか」

 意外とあっさり引いてみせた幸鷹の思惑など知るはずもなく、花梨がほっと息をついた。

 直後。

「あ、あの・・・幸鷹さん?」

「はい、何でしょうか、花梨殿?」

「この体勢は何でしょうか」

「今更それを問うのですか?」

 眼鏡の奥、鶯色の瞳が楽しそうだ。

「もう、朝だし・・・」

「まだ時間はあります」

「幸鷹さんお仕事が」

「朝餉を食べなければ何とかなります」

「でも幸鷹さん、あの・・・」

 もう逃げ場がない。

「あなたがいけないのですよ、花梨殿」

 着ていた単の腰紐を解きながら、幸鷹がゆるく笑った。

「あんな瞳で見られたら、私が我慢できるはずないでしょう?」

 あんな瞳もこんな瞳も、どんな瞳で見ていたのかなんてわかるわけがない。

 そう言いたいのに結局花梨の口から出てくることはなかった。 

 

 

 

 

 

 

ヒトリゴト。

結局一番暴走したのは泰継さんじゃなくて幸鷹さんだったっていう(汗

幸鷹さんがどこで花梨ちゃんの視線に気付いたか?それは・・・「最初から」です。

検非違使別当たる者、それぐらい気付かなくてどうします?(〇執事風

斎千編月日編継花編もどうぞ。

2011.7.12UP